原始反射

代表的な原始反射②

脊髄ガラント反射

赤ちゃんはこの動きを使って産道をスムーズにおりてきます。赤ちゃんの背骨の脇を撫でると、刺激のあった側の腰が動きます。

脊髄ガラント反射を保持していると、、
・脊柱側弯
・骨盤の使い方に左右差がある
・腰痛になりやすい
・緊張がある(筋肉)
・椅子に長く座っていることが苦手でモゾモゾ動く
・上半身と下半身の協調が悪い
・集中力が続きにくい
・お漏らしをする時期が長い
などといったことが感じられたり、見られます。

脊髄ガラント反射の働き
妊娠20週目ごろより出現し、子宮内で絶えず動き筋緊張度を高め前庭組織を刺激し発達させます。
出産時の産道を進むのを促進する働きで、生後9ヶ月で統合されます。

影響
触覚、特に背中で起こり、じっと座っていられないので集中力が維持できず多動に見られます。
また膀胱コントロールが困難(夜尿症)であったり、歩行時の左右バランスが悪いなどの影響があります。

背中の背もたれや洋服の腰回りの刺激、ズボンやスカートのウエストのゴムなどで刺激され、常にモゾモゾ・ソワソワ動き四六時中カラダの位置を変えたりします。
このように背中に恒常的に刺激感覚があると集中力や短期記憶に影響を及ぼしトラブルの原因や姿勢維持ができず、学力にも影響します。

脊髄ガラント反射が残った場合
・注意力や集中力の維持が困難
・歩き方や走り方がぎこちない
・椅子に座ってじっとしていられない
・モノを使った作業や遊びが苦手
・運動全般が苦手
・おねしょ(夜尿症)が治らない
・歩き方が悪く脊柱側湾症の要因にも

非対称性緊張性頸反射

非対称性緊張性頸反射とは、仰向けまたはうつ伏せに寝た赤ちゃんの顔を左右いずれかに向けた場合、顔を向けた側の手足が伸び、反対側の手足が内側に曲がる反射です。
身体の中心を境に左右で異なる動きを見せることから「非対称性」とせれています。
非対称性緊張性頸反射は、出生時に手足を動かして産道を通り抜けやすくする働きをすると考えられています。
また、眼と手の協応(視覚と触覚の連動した動き)によって、自分の身体から対象までの距離感覚が養われます。

非対称性緊張性頸反射の働き
妊娠18週目ごろより出現し、出産時に産道をうまく通れるように手助けするように頭が向いた側の腕と足が伸び、反対側の腕と足が曲がります。生後6ヶ月で統合します。
・子宮内で筋緊張を高め前庭組織を刺激します。
・産道を旋回する手助け
・腹ばいになっていても気道を確保する
・手や足や目の「利き」を作る準備のため、体を片側ずつ鍛え、両手と両目を同時に使う基礎を形成
・手と目の協調を育てる

影響
クロスパターン(交差運動)の動きを阻害し、ハイハイの邪魔をしてしまうため、眼と手の協調性の発達や前庭情報と他の感覚との関連付けが困難になります。
利き手・利き足などの発達を妨げて、そのことにより様々な動きで混乱を与えてしまい、同側性の動きが見られたり、正中線を越えての動作が苦手にも繋がります。

胸、肩、首、両腕の筋肉、また姿勢に関係の深い大きな深部筋にも関わります。
この非対称性緊張性頸反射の残存は学習障がい(LD)の人によく見られます。

非対称性緊張性頸反射が残った場合
・手と目を協応させた行動が困難
・書字が苦手で遅い
・筆圧が強い
・筆記具の持ち方がぎこちない(本人も違和感)
・ノートをとるのが苦手(文字を書き写すのが苦手)
・読字が苦手(読んでいる箇所を見失いやすい)
・手と足が勝手に動くので球技が苦手
・目を受けた方と反対の手足が動くため運動が苦手
・正中線を超えた動作が苦手
・水泳のクロールで息継ぎが苦手
・バランス感覚が悪く転びやすい
・身体を動かすことが苦手(身体を左右別々に動かしにくい)
・自分の身体から対象までの距離を掴むのが苦手
・左右の判別がつきにくい
字を書くことや絵を描く、キャッチボールなどをするときに使う眼と手の協調作業に影響します。

対称性緊張性頸反射

対称性緊張性頸反射とは、四つん這いの赤ちゃんの頭部を後へ反らせたり前に倒したりすることでおこる反射で、出生後に発達・出現して短期間だけ見られます。反射による反応が繰り返し起こることにより、ハイハイやつかまり立ちに必要な動きを覚え、筋肉の発達が刺激されます。

対称性緊張性頸反射の働き
生後6〜9ヶ月ごろより出現し、緊張性迷路反射を抑制します。
床から起き上がりハイハイへと導き、頭を上げて前方への視線を運び、頭を下げて手元に焦点を合わすことも促します。
そのことによって遠近を交互に繰り返し両眼でみるトレーニングになり、眼と手の協調性を高め、ハイハイするプロセルと他の感覚が統合されます。
この反射は9〜11ヶ月で統合されます。
あらゆる身体組織と筋肉、特に目が関連します。

対称性緊張性啓反射の影響
赤ちゃんがハイハイをし始める前に手足をついてロッキングする動きで抑制していきますが、これが不完全であるとスムーズなハイハイができなくなります。
そのことにより、前庭覚・固有受容覚・視覚が協調して働けないため、バランス・空間認知・奥行き知覚が影響を受けます。
全体的なぎこちなさ(目と手の協調性がよくない)、両眼視機能の調整が困難(遠近の焦点合わせが苦手)ということに繋がります。

対称性緊張性頸反射は原始反射の次にやってくる姿勢反射に分類されることもあります。
姿勢反射は、私たちが通常立ったり座ったりしているときに全身の筋肉が適度に緊張し、バランスを自動的にとってくれている反射です。
指定反射があるが故に私たちが立つことが無意識に、自然にできているのです。

発達のヒエラルキー

-原始反射