感覚統合

社会性の土台に繋がる重要な感覚!【触覚】

触覚とは?
触覚は、皮膚を通して感じる感覚のことです。
触覚は触ったり、触れられたりすることで感じる感覚で、皮膚を通して感じます。
触覚の4つのはたらき
①情緒を安定させるはたらき
肌と肌のふれあいや、毛布で包まれた時の心地よさが情緒を安定させることに繋がります。
泣いている子どもに優しく背中をさすることもあると思います。これも触覚を通して情緒の安定を促していると言えます。


②防衛するはたらき【原始系】

熱いものに触れた時に咄嗟に手を離す。腕に虫が止まると、サッと払い除けます。
このように皮膚を通して危険を感じたときに反射的に自分を防衛するはたらきが触覚にはあります。

③識別するはたらき【識別系】
小銭と切符が入っているポケットから、小銭を取り出そうとする時、ポケットの中を見なくても、間違えずに小銭を取り出すことができます。
それは、素材などの違いを触覚によって識別しているからです。
この識別する能力は手の器用さにも繋がってきます。

④ボディ・イメージ(身体の地図を把握する)の発達を促すはたらき
触覚はボディ・イメージを把握するために必要な感覚です。
皮膚は自分の身体と外界との境界にあるため、皮膚から感じる触覚を通して、私たちは自分の身体の輪郭を感じることができます。
これらが自分の身体の大きさや長さなどを把握する基となってきます。
ボディイメージを把握できることで「このスペースは通れそうか」「天井の高さ的に身を屈めた方がいいか」など環境との関係性を把握することに繋がってきます。

識別系と原始系のはたらき
【原始系】本能的なはたらき
原始系は、生物の太古の時代から使っていた本能的な感覚です。
初期の生物は目も耳もなく、皮膚からの感覚情報が命綱でした。触れたものが餌ならば自らが向かって行くという「取り込み行動」にスイッチが入る必要があります。
逆に天敵ならばすぐに逃げるなどの「防衛反応」が必要となります。
本能的な行動がコントロールされており高等動物に進化した人間にもこの「原始系」が引き継がれています。
 
【識別系】
原始系とは別に、進化の過程で作り上げてきたのが「識別系」と呼ばれる知的な情報処理をする触覚機能です。
色々なものが入っているポケットからコインだけを取り出すというように目で確認せず手探りで感じ分ける感覚を識別系と言います。
五感の括りの中で説明される触覚は、主にこの識別系をさします。
原始系にブレーキをかける識別系の発達
原始反射は成長とともに見られなくなりますが、それは機能が低下したのではなく、もう一つのネットワークである識別系がはたらき始め、脳内で交通整理がされるためです。
外からの刺激に対して原始系が働かないようブレーキをかけるからです。
識別系の発達過程
原始反射が現れている新生児を経て生後3ヶ月頃には手に触れたものを見ようするなど「なんだろう?」と知的な興味を向けるようになります。これが識別系の始まりです。

6ヶ月を過ぎる頃には手に触れたものを口に入れて確かめるようになり、握っただけでは満たされず、口の感触も使って確かめるようになります。
この時、口に入れたからと言って識別系が発達しているとは限りません。原始系の「取り込み行動」かもしれません。
口に入れたものを取り出し、また見て確かめるという「なんだろう反応」があって初めて識別系が機能していると言えます。

1歳を過ぎからは識別系の活動がレベルアップし、1歳半ごろには見えないものを手探りで確かめるようになります。
ポケットや引き出しなどに手を突っ込む行動が増えるのもこの頃です。

3歳半頃には識別系も仕上げ段階を迎え、触ったものの大きさ、素材、形の違いがわかるようになります。

触覚防衛反応
他人に触られるのを過剰に嫌がる。特定の素材の服に拒否反応を示す。苦手な食感の食べ物を吐き出すなど行動は「原始系」の触覚反応によるものです。
これを「触覚防衛反応」と言います。

触覚防衛反応を軽減するには「識別系」の触覚の経験を積み重ねることで情報が整理され、「原始系」の反射的な行動にブレーキをかけることができるようになります。

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触覚防衛反応の有無の4つの確認ポイント
①生活面での拒否
②身につける物への拒否やこだわり
③自分からは触りに行くが、触られるのを拒否する
④触れる素材に偏りがある
これは感覚統合のバランスの悪さから自ら感覚を刺激する「自己刺激行動」の1つですが好き嫌いが要因ではないことを周りの大人の理解が必要になります。
社会性の土台をつくる触覚
幼い子どもにとって、自分のことを愛し、守ってくれる存在とのふれあいは非常に重要です。
必要な時期に愛情あふれたスキンシップを得ることで、愛着や共感の気持ちが生まれ、社会性へと繋がっていきます。
しかし触覚防衛反応があると、この親子の愛着や共感の土台がなかなか築くことができません。
育てにくいと感じたり、子育てを満足にできていないと感じることにも繋がり、イライラしてしまうこともあります。
このことを知識として持っておくだけで、悩みが少し軽減出来るかもしれません。
触覚が統合されていないことで起きる問題

「共感性」の発達が阻害
①アタッチメント(愛着の形成)の発達を歪ませることに
共感性〜○○を共有しようとする心の働きという意味で使うと○○には「視線」「表情」「動作」「もの」「興味」微笑みかけたり、
①目を見つめたり仕草を真似をしたりの動作の共有
②おもちゃを受け取ったり渡したりのモノの共有
③お花を見て「綺麗ね」というような興味の共有

②スキンシップが育たない(時には親でも不快刺激)
原始反射がきついため自己防衛から対人関係の発達に歪み

③触覚の低反応からの、感じたりない部分を補う「自己刺激行動」
指しゃぶり、爪やえんぴつ噛み、毛を抜く、温度、皮膚感覚鈍麻

触覚につまずきがあると
触覚が鈍感だと?
・何かにぶつかったり、怪我をしても痛がらずに平気でいる
・腕に歯型がつくほど強く噛むなど自傷的な行動をする
・爪や鉛筆を噛む
・手に触れたものをすぐに口にする
・食べ物をよく噛まずに飲み込む
・他人との程よい距離感を掴めず近づきすぎる
自己刺激行動

触覚が敏感だと?
・自分からは触れるが、他人から触られるのは嫌がる
・頭を撫でられたり、手足を触られるとビクッとする
・帽子、靴下、マスクを嫌がる
・爪切り、髪を切られるのを嫌がる
・服の素材や襟の具合など、衣服への違和感が強くこだわりが強い
触覚防衛反応

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